先日、MicrosoftのWindows 10搭載タブレットPC「Surface Pro 4」を購入しました。
絵を描く妻に、ペン入力と高性能を兼ね備えたPCをプレゼントしたいと思ったのがきっかけです。
セットアップは私が行ったのですが、SYSTEMAX社のペイントツール「SAI」を使えるようにするのが予想以上に大変でした。
今回はSurface Pro 4でSAIを使用するために必要な設定をまとめました。
環境
- モデル: Surface Pro 4 CR3-00014
- OS: Windows 10 Pro 64bit(バージョン1607「Anniversary Update」導入済み)
- CPU: Core i5-6300U
- メモリ: 8GB
- SSD: 256GB
- SAI: Ver.1.2.5
筆圧の有効化
Surface Pro 4のSurfaceペンは1024段階の筆圧感知に対応しており、ペンをディスプレイに押し付ける強さによって、描線の濃淡や幅をコントロールできます。
しかし、標準のSurface Pro 4ではSAIの筆圧感知が機能せず、筆圧の強弱に関わらず全て同じ線になってしまいます。
Wintab APIのインストール
ペンの筆圧をアプリに伝える仕組みとして、Surface Pro 4では「TabletPC API」を採用しています。(Surfaceのプリインストールアプリでも使用)
SAIの筆圧感知には「Wintab API」という別の仕組みを導入する必要があります。
Download Surface Pro 4 Drivers and Firmware from Official Microsoft Download Center
上記サイトにアクセスし、赤い[Download]ボタンをクリックすると次の画面が表示されるので、「Wintab_x64_1.0.0.20.zip」にチェックを入れて[Next]をクリックします。
ダウンロードしたZIPファイルを展開し、「WinTab_Setup_x64.exe」を右クリック→[管理者として実行]からインストールします。
Visual C++ 2010 SP1 再頒布可能パッケージ (x86)のインストール
前述のWintabを導入しただけでは、SAIに筆圧を認識させることはできませんでした。
(購入前に「Wintabを入れれば認識する」という情報を確認していたので少々焦りました)
結果的には、VC++ 2010のランタイム(プログラムを動作させるための部品)を導入することで、筆圧を認識できるようになりました。
Download Microsoft Visual C++ 2010 SP1 再頒布可能パッケージ (x86) from Official Microsoft Download Center
上記サイトにアクセスし、赤い[ダウンロード]ボタンをクリックすると「vcredist_x86.exe」がダウンロードできます。
ダウンロード後、ファイルを右クリック→[管理者として実行]からインストールします。
Windows 10はVC++ランタイムの不足による問題が多い?
以前、VAIOをWindows 10にアップグレードした際にも、VC++ 2012のランタイム不足によるエラーが起きました。
今回はSAIの筆圧感知に必要なVC++ 2010の32bit版を紹介しています。
もしも他のアプリで問題があった場合は、同64bit版や2012(32bit・64bit)の不足を疑ってみると良いかもしれません。
※2013、2015については、32bit・64bit版共にSurface Pro 4に標準搭載されていました。
高解像度への対応
Surface Pro 4は2736x1824の高解像度ディスプレイを搭載しています。
高解像度にはデメリットもあり、アプリによっては文字が非常に小さくなり、読みづらくなってしまう場合があります。
私の環境では、Windows 10をバージョン1607(Anniversary Update)にアップデート後、SAIで上記事象が発生しました。
メニューのフォントや各種ツールが小さく表示され、使いづらくなってしまいました。
解像度変更ツール「sizech」の導入
Windowsの解像度を簡単に変更できる「sizech」を導入し、「1. SAIの起動時にシステムの解像度を下げる」「2. SAIの終了時に解像度を元に戻す」という、ちょっと強引な対応を行いました。
下記サイトから「sizech20100515.zip」をダウンロードし、任意の場所に展開します。
SAI起動用ショートカットの作成
展開したフォルダ内の「sizech.exe」を右クリックし、[ショートカットの作成]をクリックします。
続いて作成したショートカットを右クリックし、[プロパティ]を開きます。
[リンク先]の「sizech.exe」の後ろに下記内容を追加して[OK]をクリックします。
-regw 1680,1050 -wait:1000 -exec:C:\PaintToolSAI\sai.exe -regr
処理内容は次の通りです。
- 「-regw」で現在の解像度をレジストリに保存
- 解像度を「1680x1050」に変更
- 「-wait」で1000ミリ秒(1秒)待機
- 「-exec」でSAIを起動(インストール先を変更している場合は要変更)
- SAIの終了後、「-regr」で解像度をレジストリから復元
このショートカットを実行すると、Windowsの解像度を指定した値に変更後、SAIが起動します。
SAIを終了すると、解像度は元に戻ります。
sizechの詳しい使用方法はフォルダ内の「readme20100515.txt」でご確認ください。
この方法のデメリット
Windowsの解像度を変更するため、SAIの使用中は他のアプリも低い解像度になります。
また、ディスプレイを縦にした状態でSAIの起動・終了を行うと、解像度のサイズが合わないため設定に失敗します。 (「グラフィックモードはサポートされていません。」のエラーダイアログ表示)
SAIの設定ファイル「misc.ini」の変更
SAIのインストールフォルダ(デフォルトはC:\PaintToolSAI)内の、「misc.ini」を開きます。
下記2項目の値を変更後、ファイルを保存します。
TabletMouseSimulation
0 → 1
デフォルト値(0)の場合、ペンでメニューを開いてもすぐに閉じてしまいます。
TitleBarMode
1 → 0
ウインドウのタイトルバーを変更します。 デフォルト値(1)では、タイトルバーが細いため操作しづらいです。
Windows「ペンとタッチ」の設定
標準の設定では、ペン入力後に描画されるまでの遅延が大きいです。
Windowsの機能を無効化することで、素早い入力が可能になります。
タスクバーの検索ボックスに「ペンとタッチ」と入力し、[Enter]キーで設定画面を開きます。
[ペンのオプション]タブ
[長押し]を選択し、[設定]をクリックします。
[長押しを右クリックとして認識する]のチェックを外し、[OK]をクリックします。
[フリック]タブ
[フリックを使用してよく実行する操作を素早く簡単に行う]のチェックを外します。
[タッチ]タブ
[スクリーンをタッチしたときに視覚的フィードバックを表示する]のチェックを外し、[OK]をクリックします。
まとめ
必要なAPI・ランタイムを導入し、適切な設定を行うことでSurface Pro 4でもSAIが使えます。
しかし、解像度の問題は完全には解決できていないので、ペイントツールを新規購入する場合は別のアプリも検討してみることをおすすめします。
同じ環境でSAIの使用をご検討中の方にとって、参考になれば幸いです。