フクロウはとても可愛い生き物です。
最近では、動物園やフクロウカフェなど、フクロウに会える場所は身近になりました。
ですが、もしもそこで「運命の子」に出会ってしまったら、お迎えして一緒に暮らしたいという気持ちになっても不思議ではありません。
この記事を読んでいただいている方は、きっとフクロウを飼うことに興味のある方だと思います。
私はアフリカオオコノハズクの「ぽぽ太」をわずか半年で亡くし、とても辛い経験をしましたので、フクロウの飼育を安易におすすめするつもりはありません。
ですが、ぽぽ太と過ごした時間はとても充実していましたし、大切なものをたくさんもらいました。
今回はフクロウを飼うために必要なもの・心構えをお伝えし、これからフクロウをお迎えする方や、お引越しするフクロウさんを応援できればと思います。
必要な資格
フクロウを飼うときに、資格は特に必要ありません。 フクロウが大好きで、家族として迎え入れる準備がきちんとできれば、誰でも飼うことができます。
例外として、野生のフクロウについては許可なく飼うことが「鳥獣保護法」により禁止されています。 (ケガをしているフクロウを助ける場合でも)
心構え
フクロウは他の鳥や犬、猫などと比べると、ペットとしてはまだ一般的ではありません。 また、フクロウ自身の特徴・性格などから、飼うためには次のような心構えが必要です。
フクロウのごはんを用意してあげられるか
フクロウはタカやハヤブサといった猛禽類の一種です。 肉食の鳥であるため、飼育環境下では主にウズラやマウスなどを与えます。
これらは冷凍状態のものをフクロウカフェやインターネット上の専門店で購入できるため、入手は難しくありません。
ただし、食べさせるにはひと手間必要です。 私が以前購入していた冷凍ウズラは、頭部と内臓が除去済みでしたが体の形ははっきり分かり、内臓も少し残っている状態でした。 これを水にひたして解凍し、皮や内臓を取り除き、肉をハサミで刻むことで初めてフクロウのごはんになります。
私は洗面所で作業していましたが、気をつけないと周りが血だらけになりますし、生臭くもなります。
フクロウを飼う本人が大丈夫なのはもちろんですが、ご家族がいる場合は理解が得られるかもポイントになります。
また、フクロウのためとはいえウズラをさばく行為は、鳥が好きな方には辛いかもしれません。
フクロウにとってあなたが「1番のひと」ではないかもしれない
フクロウは単独、またはつがい(夫婦)で行動する鳥です。 警戒心も強く、人と仲良くなるのはどちらかというと難しいです。
仮に心を許してくれても、その対象はあなたではなく他の人かもしれません。
ぽぽ太は私に対して、心を開いてくれているようでしたが、移動させようとすれば噛まれますし、撫でられるのもちょっと嫌そうでした。
完全に懐くというのは難しいので、「共に生活する」くらいを目標にしておいた方が、後々ショックを受けずに済むと思います。
10年後、20年後も家族として一緒にいられるか
フクロウの寿命は個体や種類によって異なりますが、小型で10年以上、大型では20年以上生きる場合もあるそうです。
10年以上も先となると、今とは生活が大きく変わっているかもしれません。
引越しをしたり、結婚したり、子どもが産まれたり...
今飼いたい・飼えるというだけでなく、将来的にも一緒にいられるかどうか、しっかり考えておく必要があります。
環境
室温・湿度は人と同じくらいで大丈夫
フクロウは一般的に室内で飼いますが、それほど厳しい条件はありません。 人が普通に生活できる室温・湿度であれば問題ありません。
フクロウが運動不足にならないよう、放して遊ばせられる部屋もあるといいです。
一緒に生活する家族の同意・協力も必要
フクロウのごはんや性格など、その特徴を家族にもしっかり理解してもらう必要があります。
また、自分が不在の際に、フクロウの世話をお願いできるかもポイントです。
※特に、フクロウを預けられるお店が近くにない場合
猛禽類を治療できる病院が近くにあるか
フクロウが病気やケガをした際に、通院できる距離に病院があることも確認しておきましょう。
動物病院ならどこでも良いというわけではなく、フクロウもしくは猛禽類に対応できる病院が望ましいです。
家から病院までの距離は、できるだけ近い方が移動時間が短く、フクロウの負担が少ないです。
また、休診日に備えて2か所以上の病院を調べておくと安心です。
費用
フクロウの価格
フクロウの販売価格は種類やお店によって異なりますが、10万円〜数十万円と幅広いです。
また、ブリーダーのもとで繁殖された「CB個体」と、野生で捕獲された「WC個体」があり、後者の方が安価です。ただ、元々野生のため人に慣れていないことが多く、CB個体と比べると飼育しづらいそうです。
私が購入したお店は、平均的な相場よりも少し高めでしたが、フクロウの飼い方を丁寧に教えていただきましたし、購入後もいろいろと相談に乗ってもらえました。 フクロウのメンテナンス(伸びたクチバシや爪のカット)も無料でした。
購入時の価格だけでなく、サポートやアフターケアも含めてお店を選ぶことをおすすめします。
お家の作成費・道具の購入費
フクロウを飼うためには、フクロウのお家の作成と、いくつかの道具が必要です。 内容についてはこの後ご紹介しますが、私の場合はすべて揃えるのに約4万円ほどかかりました。
月々の生活費
フクロウの月々の生活費の大半は食費です。
冷凍ウズラの場合、内臓処理済みで1羽100円〜150円程度です。
小型のフクロウにとっては、1羽で2日分のごはんになります。 仮に1羽150円で購入すると、1ヶ月の食費は2,250円です。
このほかに、清掃用具の購入費や、食料用冷凍庫の電気代などがかかります。
病気・ケガをした場合はお金がかかる
フクロウのお迎えが無事に完了し、その後元気でいてくれればそれほどお金はかかりません。
ただ、病気やケガをしてしまうと大変です。
人間のように健康保険に加入しているわけではないので、治療費は全額自己負担となります。
私はぽぽ太の治療費で、約5万円かかったことがあります。(重度の肝炎による2日間の入院と検査・投薬)
事前にペット用の保険に入るという手段もありますが、当然その費用がかかりますし、現状は犬や猫を対象としたものが多いようです。
フクロウを飼う際には、緊急時のために少なくとも10万円程度の資金は用意しておくことをおすすめします。
必要なもの
私がぽぽ太をお迎えしたときに、実際に購入したものをご紹介します。
フクロウのお家・パーチ(止まり木)
フクロウは普段、木の上でじっとしていることが多いです。 飼育下においても同様で、フクロウがゆっくり休めるお家を作ってあげる必要があります。
小型のフクロウの場合、それほど大きなスペースは必要ありません。 私はメタルラックの上に木の板を固定し、手作りのパーチ(止まり木)を取り付けてぽぽ太の家を作りました。
パーチは階段用の短い手すりに、人口芝を巻いて作成しました。 また、床には新聞紙を敷き、汚れたら取り替えるようにしていました。
食器(ピンセット)
刻んだウズラは、一口分ずつピンセットで掴んでぽぽ太に与えていました。 先が曲がっているタイプがおすすめです。
食料用の冷凍庫
私は冷凍ウズラを40羽まとめて購入していました。 普段使用している冷凍庫だけだとスペース的に厳しかったので、専用の冷凍庫を購入しました。 ハイアールというメーカーの38Lの製品で、価格は2万円程度です。
水浴び用の霧吹き
フクロウの体を清潔に保つため、定期的に水浴びをさせます。 その際に、霧吹きを使って少しずつ水をかけてあげます。
体重計
ぽぽ太の体調管理のため、毎日体重を量り記録していました。 急激な体重の変化があれば、フクロウの体調不良を疑う必要があります。
※私はこれで大きな失敗をしたのですが、体重が普通でも病気の可能性はあるので過信は禁物です。
フクロウ専用の体重計があるわけではないので、キッチン用のはかりに止まり木と人工芝を貼り付けて作成しました。 このようにしておくと、フクロウをある程度近づけた際に自分から乗ってくれるので量りやすいです。
移動用バッグ
フクロウと一緒に出かける際に使用します。 私は小型犬用のキャリーを購入しました。
主な外出の理由として、通院(病気、ケガ、健康診断)やメンテナンス(クチバシ、爪のカット)があります。
あると便利なもの
フクロウと一緒に生活する上で、必須ではありませんがあると便利なものをご紹介します。
室温・湿度計
人が普通に暮らしている温度・湿度であれば、それほど神経質になる必要はありませんが、私は念のため購入しました。
特に冬は、暖房(エアコン)の使用により湿度が低下する傾向にあるため、湿度計の値に気をつけながら加湿器を併用していました。 湿度が30%を下回ると、人間の場合は免疫力が低下し、逆にウイルスの活動は活発になります。
フクロウにとっての室温・湿度の「正解」を述べることはできませんが、大切なフクロウのために気をつけてあげても損はないと思います。
フクロウのおもちゃ
フクロウと一緒に遊ぶおもちゃがあると楽しいです。 注意点としては、あまり小さな部品があるものだと、フクロウが誤って飲み込んでしまう危険性があります。
ぽぽ太は小トトロの指人形がお気に入りでした。(獲物と勘違い?)
フクロウの別荘
フクロウのお家を掃除するときなど、退避場所として止めておけるところがあると便利です。 私は100円ショップで購入した木材と人口芝を組み合わせて、下記のような別荘(パーチ)を作成しました。
まとめ
以上のものが準備できれば、フクロウを家族としてお迎えできると思います。
私はぽぽ太を半年で失っているため、決してフクロウ飼育の「成功者」ではありません。 ですが、ぽぽ太と共に過ごした半年間で得た経験を、これからフクロウを飼う方に少しでも活かしていただければ、ぽぽ太もきっと報われます。
フクロウが大好きな方、これからその人の家族になるフクロウが末永く、幸せな毎日を過ごせることを心から願っています。