Macでプログラムを開発したり、システム環境設定に無い設定を変更する際のコマンド入力で使用する「ターミナル」。
今回はMacのターミナルを快適に使うための設定をまとめました。
- 環境
- ターミナルの起動方法
- 初期状態のターミナル(Before)
- 設定完了後のターミナル(After)
- プロファイルの変更
- プロファイル「Solarized」の追加
- プログラミング用フォント「Ricty Diminished」のインストール
- プロファイルの設定変更
- bashの設定
- まとめ
- 関連記事
環境
- モデル: MacBook Pro 15インチ(Mid 2015)
- OS: macOS Sierra 10.12
OSの基本設定については、次の記事にまとめています。
※本記事は上記設定の環境で作成しています。
ターミナルの起動方法
[control] + [スペース]キーでSpotlightを開き、「ターミナル」と入力します。
「ターミナル - ユーティリティ」を選択して[enter]キーを押すと、ターミナルが起動します。
Dock上のターミナルアイコンを2本指タップし、[オプション]→[Dockに追加]しておくと、次回からの起動が楽になります。
初期状態のターミナル(Before)
設定を変更していない、初期状態のターミナルです。
ちょっとコマンドを入力するだけなら問題ありませんが、プログラム開発などで本格的に使用するのであれば、変更しておきたい設定がいくつかあります。
設定完了後のターミナル(After)
本記事の設定が完了したターミナルです。
まだ改善の余地はありますが、初期状態よりも使いやすくなりました。
以降、具体的な設定手順を記載します。
プロファイルの変更
メニューバーより[ターミナル]→[環境設定]を開き、[プロファイル]タブを選択します。
「プロファイル」はターミナルの外観(背景やフォントの指定など)をまとめたもので、これらを一括で変更できます。
左側の一覧からプロファイルのアイコン部分をダブルクリックすると、選択したプロファイルの新しいウインドウが表示されます。
プロファイルを選択して左下の[デフォルト]を押すと、ターミナル起動時のデフォルトとして設定されます。
この中でのおすすめは、黒い背景色の「Pro」です。
プロファイル「Solarized」の追加
プロファイルは追加することもできます。
今回は目に優しい配色の「Solarized」をダウンロードして追加します。
下記リンクを開き、右側の[Clone or download]をクリック後、[Download ZIP]よりファイルをダウンロードします。
※「Solarized」の公式サイトでもZIPファイルをダウンロードできますが、macOS Sierra(10.12)には対応していませんでした。 (プロファイルの読み込みは可能ですが、フォントカラーが設定されない)
「osx-terminal.app-colors-solarized-master.zip」のダウンロード後、任意の場所に展開します。
フォルダの中には、2種類のターミナル設定ファイルが含まれています。
- Solarized Dark.terminal(暗い)
- Solarized Light.terminal(明るい)
ファイルをプロファイルの一覧にドラッグすることで追加できます。 (左下の歯車アイコン→[読み込む]からの追加も可能)
DarkかLightの好きな方を選択し、[デフォルト]に設定しておきましょう。
プログラミング用フォント「Ricty Diminished」のインストール
視認性が高く、日本語にも対応しているフォント「Ricty Diminished」をインストールします。
姉妹フォントの「Ricty」はライセンスの都合により、スクリプトを実行してフォントを生成する必要があります。
Ricty Diminishedはダウンロードするだけで手軽に使えます。
下記リンクを開き、右側の[Clone or download]をクリック後、[Download ZIP]よりファイルをダウンロードします。
GitHub - edihbrandon/RictyDiminished: Ricty Diminished --- fonts for programming
「RictyDiminished-master.zip」のダウンロード後、任意の場所に展開します。
フォルダ内の「RictyDiminished-〜」で始まる4つのファイルを選択し、ダブルクリックすると次の画面が表示されるので、[フォントをインストール]をクリックします。
フォルダ内にはもう1種類の「Ricty Diminished Discord」というフォントも含まれています。
Ricty Diminishedとは一部の文字が異なり、大文字のDとZ、数字の7に横線が入っていたり、ゼロの中がスラッシュではなく点というような差があります。
こちらのフォントも上記と同様の手順でインストールできますので、お好みで使用してください。
プロファイルの設定変更
[ターミナル]→[環境設定]の[プロファイル]タブにて、一部のオプションを変更します。
[テキスト]タブ
背景
[カラーとエフェクト]内の、[不透明度]を下げるとウインドウが透明になり、後ろに隠れているウインドウが見えるようになります。
私は90%に設定しています。(10%透けている状態)
フォント
[変更]ボタンからフォントパネルを開き、[ファミリー]から「Ricty Diminished」を選択し、サイズを見やすい大きさに調整します。
私は18ptに設定しています。
bashの設定
標準シェル「bash」の設定ファイルを作成し、使いやすいようにカスタマイズします。
ここでは、ホームディレクトリに「.bash_profile」と「.bashrc」の2つを作成します。
.bash_profileの作成
.bash_profileはターミナルの起動時など、新たにログインした際に実行される設定ファイルです。
環境変数の設定(export)など、ログイン中に一度だけ必要な設定を記述します。 (環境変数は子プロセスにも引き継がれます)
次のコマンドを入力し、ファイルを作成します。
$ vi ~/.bash_profile
テキストエディタ「Vim」が起動するので、[ i ]キーで入力モードに切り替えます。(左下に「-- INSERT --」と表示されます)
続いて次の内容をコピーし、ターミナル上で[command] + [v]キーを押して貼り付けます。
# .bash_profile # .bashrcの実行(存在する場合) if [ -f ~/.bashrc ]; then . ~/.bashrc fi # 環境変数の設定 # パス #export PATH=$PATH:コマンド検索パス
コマンド検索パスの追加
コマンド検索パスを追加する(パスを通す)際は、上記の「コマンド検索パス」部分に記述し、行頭の「#」を削除します。
※コロン「:」区切りで複数のパスを指定でき、左のパスから順に検索されます。
指定したパスに存在するコマンドが、ファイル名だけの指定で実行できるようになります。
(例えば「/bin/ls」が「ls」だけで実行できるのは、環境変数PATHに/binが含まれているためです)
Vimの終了方法
ファイルの編集完了後、[esc]キーで入力モードを終了し、「:wq」と入力後に[enter]で内容が保存され、Vimが終了します。
Vimの操作は慣れていないと難しいです。
途中でよく分からなくなってしまった場合は[esc]キーを押し、「:q!」を入力後に[enter]で、ファイルを保存せずに終了できます。
.bashrcの作成
.bashrcは、bashの起動時に毎回実行される設定ファイルです。
ただし、Macのターミナルではログイン時には実行されないため、.bash_profile内で.bashrcを実行しています。
今回はコマンドのエイリアスとプロンプトを設定します。 (エイリアスは子プロセスに引き継がれないため、毎回設定する必要があります)
次のコマンドを入力し、ファイルを作成します。
$ vi ~/.bashrc
次の内容をコピーし、.bash_profileと同様の手順でファイルに保存します。
# .bashrc # エイリアスの設定 # ls(カラー表示) alias ls='ls -G' alias ll='ls -lG' alias la='ls -laG' # プロンプトの設定 PS1='\[\e[34m\]\w \[\e[37m\]\$\[\e[0m\] '
エイリアスの設定
上記エイリアスの設定により、「ls」コマンドの入力時に実際には「ls -G」が実行され、ディレクトリなどが色分けされて表示されます。
「ll」は詳細表示、「la」はドットで始まる隠しファイルも含めて表示します。
プロンプトの設定
プロンプトの書式は変数「PS1」に格納されており、この値を変更することでカスタマイズが可能です。
上記の設定では、ディレクトリ(\w)とプロンプト(\$)のみのシンプルな表示に変更しています。
また、ディレクトリのフォントは青色、プロンプトは白色に設定しています。
プロンプトには、他にも様々なカスタマイズ方法があります。
設定ファイルの反映
設定ファイルはターミナルのウインドウを開き直すか、以下のコマンドで反映されます。
$ . ~/.bash_profile
または
$ source ~/.bash_profile
まとめ
以上の設定で、Macのターミナルが使いやすくなると思います。
本格的にプログラミングを始める前に、まずはターミナルの環境を整えてみてはいかがでしょうか。
細かな改善の積み重ねが、作業効率の向上につながります。